創業者の夢とものづくりへの情熱を伝えたい──京都まなびの街 生き方探究館の展示製作

島津製作所

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創業者の夢とものづくりへの情熱を伝えたい──京都まなびの街 生き方探究館の展示製作

Outline

体験しながら学べる展示をつくりたい

京都府庁の近くに「京都まなびの街 生き方探究館」という施設があります。ものづくり企業の創業者の夢や情熱に触れ、こどもたちが自分の生き方を考えるというコンセプトのもと、16のブースが設置されています。島津製作所もブースを設置していますが、これまでは文字と写真で伝える展示パネルが主体の展示で、こどもたちが体験しながら科学技術を楽しく学べる展示を新しくつくりたいと、OpEL.が相談を受けました。

Approach

島津製作所の製品がカバーする領域は、医療、医薬、食品、モビリティ、インフラ、エネルギー、半導体、化学と幅広いですが、私たちはその中から、創業の歴史と深く関わる医用機器「レントゲン」と、主力製品のひとつである分析機器「クロマトグラフ」に着目しました。2つの装置に関する科学技術について、体験を通じて楽しく学べる装置をつくれないかと考えました。

レントゲン

島津製作所が医用機器事業を始めたきっかけは「レントゲン」でした。ドイツの物理学者ヴィルヘルム・レントゲンが1895年にX線を発見し、その翌年に日本でも始まったX線の実験に二代島津源蔵らが協力し、その後、X線写真の撮影に成功しました。1961年には、世界初の遠隔操作式X線テレビジョンシステムを開発し、医療従事者の被ばく量ゼロを実現することができました。

レントゲンはそもそもどういう装置なのでしょうか。健康診断の検査でなじみがあるかもしれません。大きく息を吸って、そのまま止めてください、と言われて肺のあたりをパシャリ。すると、ガイコツのあばら骨が写ったような写真が撮れます。レントゲンは影のようなものです。普段見ている光では、体の表面の影は見えても、体の中にある骨までは見ることはできません。しかし、物を通り抜ける力が強い放射線の「X線」を当てると、体の中を通り抜けた「影」を見ることができ、X線が通りづらい骨は白く写るのです。今回はX線を紫外線に置き換え、蓄光シートと組み合わせることで、レントゲンの疑似体験ができる展示をつくりたいと考えました。

クロマトグラフ

クロマトグラフは、混ざり合っている物質を分離して、どのような成分がどれぐらい含まれているかを調べる装置です。1957年に島津製作所が国産初のガスクロマトグラフを完成させました。さらに、1972年に液体クロマトグラフを発表しました。ガスクロマトグラフは測定する試料を気体にする必要がありますが、液体クロマトグラフは液体のままで分離することができ、熱に弱い物質でも扱えるようになりました。

どうやって分離しているのでしょうか。装置の中に注入された試料は、まずカラムとよばれる細いチューブの中を一定方向に流れていきます。そのときに、カラムの中を進む流れやすさの違いにより、移動するスピードに差が生じることで、それぞれの成分が分離されるのです。

展示では、いろんな成分が混ざった試料を球体に、分離するカラムを格子状の板を重ねた障害物に置き換えました。いろんな大きさの混ざった球体が、格子状の板に衝突しながら進んでいくときに、通り抜けるスピードに差が生じます。カラムを通るときに成分が分離するクロマトグラフ装置の仕組みを、実際に見ながら体感できるようにしたいと考えました。

Outcome

全体

展示の目玉である体験装置として、左側にレントゲン、右側にクロマトグラフを設置しました。それに加えて、左側の壁面で、創業者である初代と二代の島津源蔵を紹介し、中央奥で、親子二代にわたる創業の物語を漫画で表現し、右側の壁面で、島津製作所と深い関係にあるGSユアサを紹介しています。

体験装置1 レントゲン

レントゲンの展示装置は、X線の代わりに紫外線を用い、光を浴びると少しの間だけ光を放つ「蓄光シート」を組み合わせて開発しました。中心にある実験箱の中に調べたいサンプルをいれてボタンを押すと、紫外線が照射されます。

普通に見ると真っ黒にみえる謎のケースを、実験箱の中に入れて紫外線を当てると……。ケースの中身が透けて映し出されます! このように紫外線を通す素材と通さない素材を組み合わせて、レントゲンの疑似体験ができるように設計しました。

体験装置2 クロマトグラフ

クロマトグラフの展示装置では、技術の中心である「分離」を目で見ながら体験できるようにしました。具体的には、カラムの中を進む流れやすさの違いにより成分が分離される仕組みを、格子状の板の障害物によりボールが落下するスピードに差をつけて表現しました。

左側のタワーの上部では、青と銀の2種類のボールが混ざっています。ボタンを押すと、シャッターが開いて、青と銀の球がいっせいに落下しはじめます! 球が下に落ちるときに、格子にはじかれながら衝突を繰り返すうちに少しずつ差が広がって、装置の下にたどり着いたときには、2種類の球がきれいに分離されています!

京都市内の小学生は、4年生になると生き方探求館を見学に訪れるそうです。島津製作所のブースを見つけたら、ぜひレントゲンとクロマトグラフの展示装置を体験し、創業者のものづくりへの情熱や島津製作所の科学技術を感じてください!

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